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2017.02.18up

岡潔講演録(24)


「情の発見」

【4】 情を純化する

 情をまず不純物を取ってきれいにしましょう。人には意識が2つある。表層意識、深層意識。表層意識というのは普通いう意識。心理学でいう意識。深層意識というのは、医学が深層意識が全く無くなる、そしてそれが回復しない、その深層意識の全く無くなった時をもって死と認定していますが、医学は随分出鱈目をやってますが、これは正しい。それが深層意識。

 その表層意識の情は取ってしまって、感情とか愛とかいう情は取ってしまう。それから、日本人は胸中、心中、腹中と云えばわかりますが、その情の部分、部分と云ってもやはり分かつべからざる全体ですが、情は無量の部分を内容としてますから、それを情緒という。情緒の中から心中の情、腹中の情とみな除く。そうすると情は純化される。この情を「真情(しんじょう)」と云うことにします。「こころ」と仮名を打つ。漱石の云う「こころ」とは真情のこと。

(※解説4)

 岡はここでは表層意識と深層意識との2つに別けているが、当初は「2つの心」を提唱していたのである。「第1の心」を感情、意欲、理性というのだが、これらは全て「自分」というものが入るのである。

 自分が嬉しい、自分が悲しい、自分が愛す、自分が憎むという「喜怒哀楽」が感情。人に勝ちたいという競争心が意欲。本当は人を助けたいという意欲もある筈。そして、妄性(時空性)と邪性(自己性)とが入ったのが理性。岡はこの理性を邪智型平等性智という。先ずはこれら自己中心的な「知情意」を全て取り除けと岡はいうのである。

 そして、次に「第2の心」の心中の情緒(知)と腹中の情緒(意)も取り除くと、そこに残ったものが「真情」ということになる。これが岡によって発見された心の奥底である。しかし、岡は取り除いたものは全て必要無いというのではなく、この「真情」を出発点として外のものを生かせといいたいのである。

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