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2013.06.15up

岡潔講演録(6)


「歌で読みとく日本歴史」
第3部 「日本歴史の概要」岡潔著

【14】造化の神々

 ともかく造化という言葉をよく使うでしょう。人類が単 細胞として地球の表面に現れたのは、いろいろいわれて長さはよく変わりますが、近頃では 50億年前といってるでしょう。これは造化が作ったんですね。それが向上して人類になっ た。これも造化が向上させたんですね。自分で向上したと思っている人はないと思う。そうい う造化ですが、その造化の神々は地球上へ渡って来たのは今から60万年位前。そして、この 地球上で人を教えようとしたんですが、教える為に、教えるったら学校ですから、先ずクラス を編成した。

(※解説17)

 ここを読んでわかることは、この地球上で50億年前に 生物として誕生した人類というものと、岡のいう30万年前に地球上へ渡ってきた日本民族と は明らかに 違うということではないだろうか。ここも甚だ想像しにくいところではあるが、30万年前に 日本民族が渡ってくる前に「造化の神々」が先ず地球上へ渡ってきて、いずれ日本民族の住家 となる繊細優美な日本列島の自然を準備しはじめたのち、はじめて日本民族が渡ってきたのだ と岡はいうのである。

 では、日本民族はどうやって渡ってきたのか。その方法 はどのようなものだったのだろう。こういうと皆さんはすぐにロケットか円盤という機械物を 連想するに違いない。しかし、岡は決してそうは言っていないのである。では、どういう方法 だろう。それは私が書き起こした岡の1969年のテープに、サン・テクジュペリの「星の王 子様」を引用して説明している箇所があるので、次に挙げてみます。

 「サン・テクジュペリの『星の王子様』はこういうこと を言っている。1つはね『あなたが星へ行くというのは星へ落っこちることですか』といって る。月着陸というのは、あれは月へ落っこちたんです。そうでしょう? これ容易にいえんこ とです。それからもう1つ。最後に地球から自分の星へ帰ろうとして、その時星の王子様はサ ハラ砂漠か何かにいたんだけど、毒蛇に足を噛ますんです。この帰り方をしている。この2つ はねえ、頭頂葉の心(第2の心)を相当知ってなきゃ建てられん構想なんです。(中略)

 だからして他の星へ行こうと思ったら、何十万光年であ ろうとも肉体を取り外したら、行こうと思ったらもう行っている(妙観察智)。後もう一度肉 体をそこで着けるのに20年程かかるだけ。でないで、月へ落っこちるような方法で肉体と共 に運ぶようなことをしたら、数十万光年ちゅうようなとこへ行こうと思ったら、命の持ち合わ せがいくつあったら足りると思いますか。全然あんなこと!」

 岡は概略こういっている。これが岡の機械物を使わない で宇宙空間を移動するメカニズム、つまり原理である。

 そして最後の「全然あんなこと!」とは、今も先進各国 が血道を上げている「宇宙開発」といわれるもののことである。膨大な資金と労力を費して今 までに人類がしたことは、他の天体どころか目と鼻の先にある月へ1度だけ行ったことと、こ の美しい地球の周辺に粗大ゴミを播きちらかしたこと、そして「星空」という詩情あふれるポ エムの世界を、ただの「物質」の世界に変えてしまったことだけではないだろうか。

   荒海や佐渡によこたふ天の河  芭蕉

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