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2013.11.30up

岡潔講演録(9)


「自然科学は間違っている」(3)

【9】 力の文明

 チェコに対するソビエトのやり方、力の強いものが偉く、力さえ強ければ何をしても良いと言うのは、これは野獣の世界です。が今そんなんです。真善美によって行為するんじゃありません。だから、ローマ時代は2000年続きましたが、こんな状態が1500年も続いたら、これはもう人類は滅びてしまうに決ってる。既に水爆が出来ている、このままいったら人類の自滅まで200年とはもたないだろうというのが識者の統一した見解です。

(※解説12)

 何度もいうことですが、西洋は本質において「力(意志)の思想」です。西洋の文明が高いと見えるのは、その「力の思想」をカモフラージュするための、いわば「虚飾」だと岡はいっている。

 今の中国もそうですが、あれは飽くまでも「情」ではなく形式である「知」を重視するという、心の構造に問題があることも根本的には影響していますが、それよりも自らの文化の精華である孔子や老子などを捨て去り、共産主義と資本主義(共に物質主義であり力の思想)の折衷という、場当たり的な西洋の真似をするため尚更ひどいものとなっています。

 岡が日本人の覚醒を必死に呼びかけたのは、日本人にはいろいろと欠点もあるけれど、実は「情(こころ)の民族」であるという、人類の中でも稀な存在だということが理学的にわかったからなのであって、何も国粋主義という一種の「力の思想」に凝り固ったためではないのです。

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