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2017.11.09up

岡潔講演録(28)


「真我への目覚め」

【2】 西洋の物質主義

 この問題については、少しずつ、網をひきしぼっていって考えてみました。明治のはじめに、日本は、ぐずぐずしていては、ロシアとかイギリスとかアメリカとかフランスとかに、侵略されてしまうかも知れないと、それを非常に恐れました。大体、明治維新は、主として、この恐れのために起こったんだろうと思いますが、ともかく、明治の初めにそう思った。

 で、それを防ごうというので、大急ぎで、西洋文明を取り入れた。余り急いで取り入れたために、よく吟味しなくて、西洋文明とともに、物質主義をも取り入れてしまった。

 物質主義というのは、物質によって、全て説明できるとしか思えないことです。物質によって、全て説明できると思う、ここにとどまるのでしたら、物質思想ですが、そうとしか思えないというのは物質主義、イズムです。その物質主義をずっと持ち続けたまま、今日に至った。

 終戦後、それが一層強化されて、国の旗じるしに掲げられ、それによって、憲法、法律を作り、それによって、社会通念を作り、それによって、教育原理を作り、それを守り続けて今日に至っている。

(※解説2)

 後生の我々からすれば明治維新の大業は今も世界から称讃され、諸外国ではとても考えられないような時代の転換と文明の移入がなされたように思われているのだが、日本民族の中核である岡からすれば、それと引き替えにより根本的なところで致命的な間違いがあったというのである。

 それが西洋から入ってきた「物質主義」というのだが、今問題になっている科学技術の氾濫と暴走の問題は勿論のこと、今改憲がかまびすしい憲法の基本理念、それに派生する法律、更には我々の現在の社会通念、そして教育原理までもがその「物質主義」によって冒されてしまったというのである。

 しかし、そんなことには全く無頓着で、何の疑問も抱いていないのが現代の我々ではないだろうか。そもそも「物質主義」の水の中を泳ぐ魚であること自体に気づいていないのである。岡はこれからその「物質主義」の弊害をつぶさに説明していくのだが、果して我々はそれに着いていけるだろうか。

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