「情の構造」

【７】 真情と日本の神々（２）

 始めに私が云ったあの悟線さえ越えれば、物質じゃなく心だとわかる。無意識的にわかっているから。そこまで日本人を教育してくれたのは、これが日本の神々。こんな教育しようと思ったら、肉体を持って教育したら、意識的にわからすことは出来ますが、無意識的にわからすことは出来ない。深層の心に説かなきゃならない。肉体を持っていたら、そんなとこ、はいり込めやしません。これはちょっと出来ません。

 その日本の神々はどこに住んでいるか、情が自分だと教育した神々だから、これは第10識に住んでいるに決っている。他に住んでいたら、そんなこと説かれやしません。他の神々もいるでしょうが、一番ここで問題になる神々は、日本というこの地域に住む人だけが、情を自分だと無意識的に知っているのは、これはどういうわけかというのが一番問題なんです。これは神々の長い間の教育。その神々はどこに住んでいるのか。真情の世界に住んでいる。

 じゃあ、仏教の仏と一番違うところはどこか。仏の心は第10識にある。そう思う。体は云わば第9識、心は第10識。仏の心のことを仏教は云っていない。それだけです。こんなふうに思う。

（※解説７）

 日本に神々がいるということについて納得する人もいるだろうが、とても納得できない人もいるだろう。また日本人は第10識「真情」に住んでいるということについても、やはり納得する人もいれば納得しない人もいるだろう。

 しかし、それらの前提を一応認めてもらって考えるとして、岡のいう「肉体を持って教育したら、意識的にわからすことは出来ますが、無意識的にわからすことは出来ない」という指摘は大変おもしろい。「無意識的」にわからすためには、外からではなく「心の底」から働きかける以外の方法はないからである。

 我々が戦後受けてきた教育は外からの教育である。「意識的」にわからすことしかできないのである。だから岡がいうように今日の教育がいくら目茶でも、また社会通念がいくら狂っていても、第10識「真情」を無意識的にでも知っている日本人は、おかしいのは外見だけだと岡は断言するのである。

 それが証拠に諸外国からの「クール・ジャパン」の理由を考えてみればよい、穏やかで平和で安定した日本社会を見直してみてもよい、幾多の災害から一致協力して立ちあがる日本人の姿を思い出してみても、やはりうなずけるのではないだろうか。