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2015.06.11up

岡潔講演録(15)


「秋が来ると紅葉(もみじ)

【8】 世界情勢

 そうすると自由主義、共産主義の大戦争が起こる。この時は核兵器だけじゃありません。毒ガス皆使う。それから一番困ることは細菌使う。中共なんて貧乏で、その上学問ないでしょう。アメリカ軍が砂漠へでも入ってごらんなさい。ペスト菌まくに違いない。

 そうするとあいにく地球が変な方へ回ってる。だからゴビ砂漠の砂とともにペスト菌が上空を覆うて日本へくるよ。(笑)これ大変ですよねえ。そのあとどうなるなんて考えなくていい。

 問題は、英仏が落伍せずに、どうにかやって行く期間はどれくらいだろうっていうこと。これはある人は、ある人って胡蘭成(こらんせい)さんですが、長くて10年、短ければ3年だろうといってる。実際競争だとして、競争にたとえていいますと、英仏の腰つき見てますと、実際3年ぐらいじゃないかって気がするでしょう。そういう気がする。そうすると長くて10年、短ければ3年経てば、一番可能性が多いことは、ペスト菌が日本へ飛来する。(笑)

 これが世界の状勢です。火炎の燃え盛ってるような状勢でしょう。自由ということを大事にするんだったら、なんで英仏の足腰立たんようにたたきつけなきゃあいかんのか。そんなもの、英仏が食て行けるように考えてやって、その残り部分で競争したければ(これもあんまり誉めたことじゃありませんが)すべきです。

 で、今描いた日本が心配だとか、10年でどうなるとかいうのをやめて、ぞっとするような絵ができたでしょう。これが世界の現在の状勢のスケッチです。まさに火が燃え盛ってるような世相だという気がするでしょう。

 だから仏教は、第1の心の世界に住むことを「火宅(かたく)に住む」、火の宅と書きます。そしてここを抜け出して、頭頂葉の世界に住むことを「清涼(しょうりょう)の地に住む」、清涼殿の清涼と書くんですが、仏教は宋音ですから「清涼の地に住む」、そういってる。実際、「火宅」って気がするでしょう。

 私、なにもほかのためにいったんじゃない。欧米の、特にアメリカの真似はもうやめて欲しいからいったんです。火宅というのが当ってる。なんとかかんとかいいながら、やってること見たら結局こんなん。火の燃え盛るような。

 前頭葉の世界というのは仏教でいう欲界。この意というのは欲ですから、全てが欲です。欲の火が燃えている。実際そうなっているでしょう。だから、もうこんな真似はせんようにして欲しい。この真似されるのが一番かなわんのです。日本民族の自滅です。

(※解説8)

 前章で「これから世界はどうなっていくのか全くわからない」と書いたが、岡の晩年の発言をつなぎ合わせてみると、未来が少うし見えてくる。

 2006年の私の奈良天理講演でもいったのだが、先ず2010年に日本の転換点がくると岡はいう。さきの東日本大震災以後、保守系の自民党政権が復活し、日本人ばかりではなく世界が「日本の心」に目覚めはじめた観があるが、その大震災が起こった年は岡がいった年とはたった1年しか違わない2011年であった。

 しかし、そこをもっとよく見てみると、2011年3月11日というと「行政年度」を採用すると何んと2010年に入るではないか。岡もまさかそんな洒落たことはしないとは思うが、ここはおもしろいところである。

 そして、この日本人の覚醒の気運はこれからも次第に高まっていき、長い年月をかけて日本全体に広まっていくということである。しかし、それが達成されるのは岡にいわせれば2170年頃ということであって、その頃には日本人が一致団結して「日本の心」つまり第10識「真情の世界」の世界観を、自信を持って全世界に広めていくことになるだろうと岡はいっている。

 この研究会の活動は遅々として進まないのであるが、少なくとも私はその2170年に目標を絞っているのである。

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